2015年6月20日

クラスと構造体のインターフェースメソッド呼び出し

IComparer<T>IEqualityComparer<T> などのインターフェースを実装する際、クラスと構造体のどちらがいいのか迷ったことがあったので、インターフェースにキャストしたクラス・構造体からの、メソッド呼び出し速度を測定してみた。

[測定コード]

static class MeasureMethodCall
{
    static void Main(string[] args)
    {
        var size = 10000000;
        var cmpc = new ComparerClass();  // クラスベース
        var cmps = new ComparerStruct(); // 構造体ベース

        for( var i=0; i<11; i++ ){
            Console.WriteLine("[{0}]", i);

            // インターフェースにキャストした状態からのメソッド呼び出し
            InterfaceCall(size, cmpc);
            InterfaceCall(size, cmps);

            // おまけ:直接のメソッド呼び出し
            DirectCall(size, cmpc);
            DirectCall(size, cmps);
        }
    }

    static void InterfaceCall(int size, IComparer<int> comparer)
    {
        var sw = Stopwatch.StartNew();
        for( var i=0; i<size; i++ ) comparer.Compare(0, i);
        sw.Stop();
        Console.WriteLine("[InterfaceCall][{0}][{1:struct;0;class }] {2}",
            size, comparer.GetType().IsValueType.GetHashCode(), sw.Elapsed);
    }

    static void DirectCall<T>(int size, T comparer) where T : IComparer<int>
    {
        var sw = Stopwatch.StartNew();
        for( var i=0; i<size; i++ ) comparer.Compare(0, i);
        sw.Stop();
        Console.WriteLine("[DirectCall   ][{0}][{1:struct;0;class }] {2}",
            size, comparer.GetType().IsValueType.GetHashCode(), sw.Elapsed);
    }
}

class ComparerClass : IComparer<int>
{
    public int Compare(int x, int y){ return x.CompareTo(y); }
}

struct ComparerStruct : IComparer<int>
{
    public int Compare(int x, int y){ return x.CompareTo(y); }
}
[結果]
インターフェース(クラス) 0.0758722
インターフェース(構造体) 0.1012821
クラス 0.0674410
構造体 0.0083828
※コマンドプロンプトで実施(csc /optimize)
※2 回目以降は類似の結果だったため、2 回目の結果を採択
※単位は[s]

まとめると、
構造体 ≫ クラス > インターフェース(クラス) > インターフェース(構造体)
※左の方が速い

当たり前だが、インターフェースにキャストした状態からのメソッド呼び出しは、直接呼び出しよりも遅い。
そして、インターフェースにキャストした状態では、クラスより構造体の方が遅い。
理由はたぶん、インターフェース(構造体)のメソッド呼び出しは、自身(構造体インスタンス)のボックス化解除が必要だから?

インターフェースを引数に取るメソッドが、上記のように where 制約で実装されていれば構造体がベストだが、.NET Framework の標準メソッドの多くはインタフェース引数に where 制約を使っていない。
where 制約を使うと、型引数が増えて呼び出し側での指定が必要になり、コードが汚くなるからだと思われる。(参考:メソッドの型推論で型パラメータの制約は使われない

結論としては、一般的な使い方をするなら、インターフェースはクラスで実装した方がいい。
※プロパティも実質メソッドなので、プロパティを実装するインターフェースについても同様

実際に Array.SortEnumerable.OrderBy で測定したところ、インターフェース(クラス)の方がいい結果になった。

検証環境

Windows 7 64bit/.NET 4.5.2
Intel(R) Celeron(R) CPU G530 @ 2.40GHz/DDR3 8GB(4GB x 2)

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